4月に刊行した『揺れて歩く』をいち早くお読みくださった読者のみなさん。著者・清水哲男さんのもとには日々感想が届いています。清水さんのFacebookページからの転載させていただきます。ありがとうございます。
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言葉にできない心地よい余韻 ――― 藤井博子さん
最後のページをめくったとき、何とも言えない感情で満たされた。
はじめの何気ない日常の一コマは心地よく、ページをめくる手もその情景のリズムにのるように軽快であった。途中からその様子は徐々に変わっていき、生活の中でこぼれてくる言葉の一つ一つに感情が揺さぶられた。文章や写真から伝わるそれぞれの想いにひきこまれ、これ以上状況が進んでほしくないと思う心と裏腹に、ページをめくる手を止めることができなかった。読み進めることで少し胸苦しさを感じる場面もあるが、文章や写真の一つ一つから愛情や温もり、優しさが伝わって、最後には言葉にできない、どこか心地よい感情で満たされた。この文章を書いている今もその余韻から抜け出せずにいる。
他の誰でもない、家族だからこその距離感で捉えられた作品であると感じた。この作品を手にすることができてよかった。読み終わったばかりではあるが、またいつの日かこの作品に手を伸ばす予感がしている。
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著者・清水哲男さんからの返信です。
藤井博子さんへ ―――清水哲男
「何気ない日常の一コマ」や「生活の中でこぼれてくる言葉の一つ一つ」は、世界中のあらゆる家族の中にあるものだと思っています。どうぞご両親やご家族の日常の隅々に目を凝らしてみてください、耳を傾けてみてください。博子さんのご家族に共通する、あるいはそれぞれ個別のドラマやストーリーに満ちているはずです。衝突を繰り返したり、共感を深めたり。僕自身のことで言えば、両親に対して好きと嫌いの間を激しく揺れ動いて生きてきました。おそらく両親も僕に対してそうだったと思います。「好き」だけで語れる人生なんて、きっと退屈に決まっています。だからこそ「他の誰でもない、家族だからこその距離感で捉えられた」のだと思います。あなたの感想は僕に、改めてそんなことを考えさせてくれました。ありがとうございました。
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