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『揺れて歩く』読者の感想(3)


『揺れて歩く』裏表紙(カバーを外したところ)

エディション・エフ4月の新刊『揺れて歩く』をお読みくださった読者から届いた感想をご紹介しています。3回めの今回は、著者・清水哲男さんのもとに直接寄せられたメッセージ。清水さんのFacebookページからの転載です。ありがとうございます。

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感想をいただきました。ありがとうございます。

不器用なそっくりさん  ――藤井雅子

 新型コロナウィルス感染症の蔓延で家に留まるしかない毎日、本書が届いてから何度も読み返してはため息ばかりついています。
 『どっちかひとりぼっちで長生きしてもしゃあないやんか』と口にしたお母様の今があるのは、『残りの時間はお母ちゃんのためにつかう』と、それを行動にうつし生ききったお父様の愛があるかこそ……、なのでしょう。
 今、長年暮らしてきた京都を離れ鹿児島にうつられたお母様のそばにはお仏壇とお父様の写真、そして息子である著者がいつも顔見せに来てくれて安心できる。形は違うけれど家族三人で暮らすような、しあわせな時間を過ごされているような気がします。
 言葉の一つ一つから伝わって来るように、著者はお父様と不仲だったのではなく不器用なそっくりさんだったのだなぁ……と感じました。

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藤井雅子さんへ 清水哲男

 「不器用なそっくりさん」とはなんとうまい言い様なんだろうと思いました。確かにぼくと父はよく似ていました。特に頑固で意地っ張りなところは本当にそっくりでした。だから衝突を繰り返したのだと思います。誰かと話しているときの自分の言葉に「あれ今の自分のセリフ、どこかで聞いたことあるな」と感じることがあります。それはかつてぼくが父に言われたことなんだとすぐに気づきます。絶対に似たくないと思っていたのに、自然に似てきてしまうのですね。「あんなクソジジイにはなりたくない」そんなふうによく言ってましたが、今自分がそのクソジジイになっているなそんな感じです(笑)

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