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『ひなたぼっこねこ』 Quoi de neuf? / What's new?

『ひなたぼっこねこ』の見本が上がりました

『ひなたぼっこねこ』の見本が上がり、印刷会社から届きました。
これまで、試しプリントや校正刷りでしか見ていなかったので、きれいに製本されコーティングしたカバーを巻かれた絵本は、なんだかよそ行きに見えます。ちょっと大人になって、いいお洋服を着せてもらったような。

さて、本書の制作はハードカバー製本を手作業で行っていますので、大量につくることができません。いえ、もちろん、何か月も何か月もかければたくさんつくれるんでしょうけれども……。

いろいろな事情を考えて、【限定 500部】の発行と決めました。
10月10日発売予定で、今も製本作業を続けています。

『ひなたぼっこねこ』
作 おづちともか
90mm×197mm、24ページ
ISBN 9784990809119
定価 1,200円+税
出版社 エディション・エフ

よろしくお願いいたします。

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『ひなたぼっこねこ』 Quoi de neuf? / What's new?

10月に新刊『ひなたぼっこねこ』発売です

のんびりしてはいますが、しかし確実にいいものをつくろうと、こつこつと本づくりにいそしむエディション・エフです。ようやく第2冊めの出版物が日の目を見ようとしています。

『ひなたぼっこねこ』
作 おづちともか
90mm×197mm、24ページ
ISBN 9784990809119
定価 1,200円+税
限定 500部

小さな、横長の絵本です。
絵本ですけど、たとえば、

・奥行きのある構図や色彩が子どもを想像の世界へ誘(いざな)う
・ストーリーの語り口が絶妙、子どもの心をわしづかみにする

といった要素は皆無です。そもそも、たとえば、

・子どもの豊かな感性を育む
・子どもの想像力を養う

ということは目的にしていません。
では大人が楽しむ絵本なのかというと、シュールでもシニカルでも啓蒙的でもなんでもないのでウイとはいえません。

猫と暮らしたことのある人は、「うんうん」「そうかも」「そのとおり」と思ってくださるでしょう。
猫を知る者どうしのゆるい共感を喚起できれば、じゅうぶんです。

ご興味があれば、ぜひ。
10月上旬発売予定で、準備中です。

 

 

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Quoi de neuf? / What's new?

エディション・エフは1周年を迎えました

本日、9月1日、エディション・エフは1周年を迎えました。

亀より遅い出版活動ですが、道草食いながら昼寝しながら、
ときどき下手な鼻歌なんぞも歌いながら、
あるいはダンスフロアでステップ踏み損ねて転びそうになりながら、
ひとりワイングラスを傾けながら、
好きな本づくりにいそしみます。

今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

9月といえば、私は高橋三千綱の『九月の空』が大好きです。
若い頃に読み、その後も幾度となく繰り返し読み続けている幾つかの本のひとつです。
若い頃読んでガツンときたモノってそうやすやすと忘れられませんよね。高橋三千綱の『九月の空』と『カムバック』、これだけは我が家の床が本の重さで抜けそうになっても絶対手離さないと決めてます。(いや、この2冊のほかにもたくさんあるんですが。笑)

ごく幼い頃は絵ばかり描いていて、いつかそれに言葉をあしらって遊びました。当時少し流行った「イラストポエム」少女だったのです。そのせいか、古い詩集がたくさんあるんですよ。
高村光太郎や室尾犀星、島崎藤村、もちろん中原中也も。
やなせたかしのイラスト詩集も。
ゲーテとかバイロンとか、アポリネールといった「洋物」も。
幼かった当時、いったい何を思ってこれらの詩を読んでいたのだろうと思います。
当たり前のことですが、ほとんどわかっていなかった。字面の美しさに惹かれていただけで。
(しかし、字面の美しさというのは非常に大切なのですよ。)

いま読み返すと、そこかしこにずしんと重いおもりがぶら下っているような、そんな言葉たちがたしかにあるのです。今ここでもう一度読まれるために、風に吹かれず水にも流されず踏ん張ってきたような言葉たちが。

読み継がれる詩とは、そうしたおもりを、同時代の読み手には悟られないように、隠し持っているものです。おもりをおもりとは気づかないまま、しかし何かしら手応えのような、伝言のようなものをそこに感じて、人は語り継いでいくのです。

言葉や文章はもちろんのこと、先人のつくったものを受け継ぐ、引き継ぐ、語り継ぐという行いは尊く、貴ぶべきことでありつつ、じつはしぜんに、肩に力入れずになされるべきこと。
継承はとても重要なことですが、頭でっかちになりすぎては却って伝わりません。
「おもり」を重いと感じないでバトンタッチのように渡していければいいですね。

いまさまざまな局面で意志決定をする人たちはどうも「古くなったらとっとと叩き壊す」ことがお好きなようですが、そんな人たちはきっと何万倍にも重くなった「おもり」に呪われるに違いないと思ったりするわけです。

エディション・エフは2年目も、のらりくらりと、でもなおいっそう、張り切って本をつくってまいります。
よろしくお願い申し上げます。