著者 アドニス
監訳 片岡幸彦
翻訳 伊藤直子・井形美代子・斎藤かぐみ・大林薫
四六判 約250ページ
定価:本体2,400円+税
ISBN978-4-9908091-3-3
2017年6月1日初版第一刷発行
現代アラブ世界を代表する詩人アドニスと、精神分析学者フーリア・アブドゥルアヒドの対談。イスラームとアラブの諸問題を政治を切り口に、コーランの文言や女性の地位、詩や芸術の存在意義に至るまで語り尽くす。ムスリム(イスラーム信徒)とアラブ人と彼らを取り巻くすべての人びとに突きつける渾身のメッセージ。
“イスラームに内在する暴力がムスリムたちにどれほど影響を及ぼしているか。知性もさることながら、人間性そのものさえ損ないかねないほどなのです。”
“イスラームは男女両性の在り方を歪曲し、愛を否定し、女性的自我と男性的他者との関わりを、つまり、あらゆる人間関係を捻じ曲げてしまったのです。”
“彼らはただひと筋に信じる以外、ないのです。こうして暴力は神聖化され、公称の「歴史」もまた、神や預言者によって創造されたことになりました。”(本文より)
【目次】
- 日本語版への序文
- 止むことなく破壊は続く
- 公称の「歴史」を読み直す
- イスラームの成立とその精神
コーランには何が書かれているのか
女性、女性性、女性的なるもの - 「イスラム国」を衝き動かすもの
- アラブに執着し続けるヨーロッパ
- 芸術と宗教、神話と宗教
- 詩は言葉と戒律の狭間で
- 真正アラブ・イスラーム史の復権のために
- 「記憶」から人々を救うために
- 結語 本質主義に抗して
【著者紹介】
アドニス
1930年シリア北部ラタキア県生まれ。現代アラブ世界を代表する詩人。本名はアリ・アフマド・サイード・イスビル。父親の教えでコーランはもとより幼少時から詩に親しむ。ダマスカス大学で哲学を専攻。1955年シリア国民党弾圧にともない、党員とみなされて6か月間投獄される。釈放後レバノンへ移住し、ベイルート大学で博士号取得。1960~61年のフランス留学を経て、ベイルート大学で教鞭を執る。1980年、フランスへ亡命、在住。アラビア語で詩を書き続け、精力的に詩集を発表、各国語に翻訳されている。
フーリア・アブドゥルアヒド
パリ第七(Denis Diderot)大学准教授、精神分析学者。専門分野における自身の著作のほか、アラビア語からフランス語への翻訳者として主にアドニスの著書の翻訳を多数手がける。
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