こちらでご紹介するのがすっかり遅くなってしまいましたが、書評が掲載されました。図書新聞4月14日号です。
アラブ文学研究家/翻訳家の柳谷あゆみ先生が評してくださいました。6面に、「自由にこそ未来を拓く力が存在するという信念 アラブ知識人と社会との関係が見える一冊」と題され掲載されています。素晴しい書評です! ごく一部を抜粋させていただきますと:
《個人の主体性と思考の自由は、二〇一一年以前から長らくシリアの知識人層が希求してきた主題であった。(中略)アドニスもその一人であり、本書での彼の思考・話題選択にもこのような現代シリア文学を担ってきた人々に共通する傾向が見出せる(特に本書で「女性」を採り上げた点は、政治・社会的抑圧を受ける対象に着目してきた現代シリア文学の特徴と合致する)。》
《平易な言葉で繰り返されるイスラーム批判には、その解釈は一面的に過ぎるのではという疑問も浮かんでくる。》
《アドニスの主張に首肯しかねる部分があるとしても、彼の言葉はシリアの混迷の深刻さを明瞭に示しており、単に異質な極論と排したならば現況を見誤ることになるだろう。》
(コーランの)《全能性は、対象を完全には表現しえないという言葉の有限性を否定し、その欠如ゆえに開けるはずであったアラビア語の未知の可能性を封じ込めた。(中略)その社会観が詩論・言語論と深く結びつく詩人の思考のあり方が見出せる。》
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柳谷あゆみ先生は歌人なのです。歌集に『ダマスカスへ行く 前・後・途中』(六花書林/2012年)があります。また最近の訳書には『酸っぱいブドウ/はりねずみ』(ザカリーヤー・ターミル著、白水社)です。こちらもぜひお読みください。
『暴力とイスラーム』(アドニス著)、当サイトからもご注文いただけます。