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12月の新刊:小説『月の家の人びと』


『月の家の人びと』

『月の家の人びと』
砂岸あろ 著
1,700円+税
B6判変型(171×120mm) 並製 288ページ
ISBN978-4-909819-10-9

《杏は鏡を持った手をのばし、いったん上に高くかかげてから、軽く深呼吸して中をのぞきこみました。
 さっきよりも輝きを増したまるい月が、鏡の上のほうにうつっています。
 その前に、瞳をきらきらと光らせ、かたくくちびるを結んでいる、一人の女性がうつっていました。》(第四章 月の鏡 より)

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澄んだ月の光を思いながら、しみじみと読んでほしい一冊。大切な人への想いを抱きながら、読んでほしい一冊。読み終えたあなたはきっと、あなたの街が好きになる。流れる川が好きになる。大切な人がもっと愛おしくなる。下界の惨憺たるありさまをよそに、今年は月がその美しさを煌々と見せつけた一年だったように思います。さまざまな思いを胸に、お読みいただきたいです。

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物語を紡ぐ人、砂岸あろ――。
美しいもの、純粋な心、ちょっぴり不思議なできごと……。人が見失いがちなものたちにこだわりつづけ、物語を創りつづけてきた著者が、祖母と過ごした「月の家」の思い出を温めながら書き、時を経て幾重のてがかりをも加味して書き上げた長編。
《その家は、(中略)志賀直哉が住み、『山科の記憶』などを書いた家です。それから数年後、私の父方の祖父母一家がその家に移り住みました。》(著者による「あとがき」より)

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京都在住の漫画家、グレゴリ青山さんから帯に推薦文をいただきました!

   物語を読んでいる間、ずっと
   月の光に包まれている心地がしました。
   美しい京都山科文学の誕生です。
       ―――――――――――――― グレゴリ青山

グレゴリ青山さん:漫画家。京都在住。著作に『グレさんぽ~猫とかキモノとか京都とか~』(フラワーコミックススペシャル2020年)『京都深掘りさんぽ』(小学館文庫2017年)など多数。

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目次

第一章    赤い傘
第二章    夜の犬
第三章    水の皮膚
第四章    月の鏡
第五章    風の靴
第六章    鬼の木
第七章    空の椅子
第八章    眠る絵
終 章    月のいる庭

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著者プロフィール

砂岸(すなぎし)あろ
京都市生まれ、京都市在住。京都精華短期大学(当時)で美術を学び、1986年よりアトリエ・ウーフ絵画教室を主宰しながら、少女マンガ原作、児童文学、エッセイなどを書く。「海の方法」同人。著書に『駱駝はまだ眠っている』(かもがわ出版、2005年)、『ほおずきの夜』(白馬社、2007年)、『黄金色の風になって』(上下、講談社青い鳥文庫、2009年)、『せんをひく』(福音館書店こどものとも、2010年)などがある。

『月の家の人びと』は書店でお取り寄せいただけます。またはこちらからお買い求めいただけます。⇩

https://editionf.thebase.in/items/36733699

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